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兄貴がなぜいきなりこういった自傷行為に走ったのか常人の俺には全く理解できない。
常軌を逸脱しているその行動にどういった意味があるのか、わからないのだ。
手の平を極細の銀製のシャープペンシルが突き抜けている光景を間近で見せられた俺はかなりのショックだ。
「俺が翼を傷つけたのならそれ以上の痛みを罰としてこの身に受けよう」
兄貴はそう言って左手の平に深々と突き刺さった、シャープペンシルを引き抜こうと右手でグッと掴んだ。
俺はハッとして我に返り、慌てて兄貴のその右手を両手で押さえつけて止めた。
「今、引き抜いたら確実に大量出血するだろうが! このまま保健室に行かないと、大惨事だ!」
「まだ足りないだろ!」
「いいからっ! もう、いいからやめろって!!!」
「俺は翼を悲しませるんなら、傷つけるんなら死んだほうがいい」
「馬鹿野郎! ……本当に、もういいから、やめてくれっ!」
兄貴は本当に、どうしようもない大馬鹿野郎だ。
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