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「……薬棚がどうかしたのか?」
とその人に聞かれて、俺はうなずいて、答えた。
「兄貴が怪我をしたから消毒をしたいんだ」
「ああ、薬棚の鍵を探してるのか? ちょっと待ってろ……」
その銀髪頭をした生徒は、保健室にある机の横に設置された棚の引き出しの底をはずすと中から鍵を取り出した。
「予備の鍵だが使える」
そう簡単に告げてからその鍵を俺に投げてよこしてくれた。
「おっと!」
俺はなんとかその鍵を落とさずにキャッチして受け取ると薬棚の鍵穴に差し込んで回す。
カチッ!
鍵が開いた音がした。
ガラス戸を引いてみるとちゃんと開いた。
銀髪の生徒がなぜ予備の鍵がある場所を知っているかなど、疑問に思ったこともあるが、今は、兄貴の怪我をどうにかする方が先決だ。
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