33769人が本棚に入れています
本棚に追加
『こっちから掛けても自重で橋がポッキリよ。かといって、姫の足場から離れた向こうのとこから橋をかけようとしてもだ、ん~……魔力の負担が大きいぞ、コラ。もともとあった橋はぶっ壊れちまってるみたいだしな』
「できなさそう?」
『無茶していいなら何通りかあっちまで渡れる方法がある』
「ホント!?」
『だぁぁぁ! 俺様が言うことは絶対ウソじゃねえから疑うな! やるからな! ちょっと下がってろ。シルフ!』
『ハイハイ、なんでしょう? ノームさん』
『姫を“飛ばす”からあっちでふんわりした風の“クッション”でも用意しとけ』
『荒業ですねぇ。それなら僕が姫達を運びますよ?』
――えっ?
シルフ君の申し出に、恐ろしい想像が浮かんで冷や汗が流れる。
風で運ばれるとなると、なかなかそれも荒業なのではないだろうか?
たまにソラリスでも暴風雨が来る季節もある。
そんな時に、家の屋根は剥がせても人一人を持ち上げた風など見たことがない。
人という小さな面積に風を受けさせ、持ち上げようとするとなると相当な風力を要するからだ。
魔法学院で風の魔法を覚え、早速メロンを市場で買ってきて風の力で浮くかどうかを実験していたバカな連中がいたけれど、メロンの皮がズタズタになってそれでお仕舞いだったのを横で白い目で見ていたのを思い出す……。
男の子達はメロンがぐちゃぐちゃになったのを、お腹を抱えて笑い転げていたが、いやいや、実際人間を持ち上げるのは無理だってば。
最初のコメントを投稿しよう!