~誰に拳を向けてんだ~

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ぷく助が召喚する我らが城。猫型の家、バステト。 球体の居住空間に三角形の煙突二つ。窓も猫の目のようで、一見して巨大なバケ猫の顔に見えなくもない。 そのバステトが森の中、枝葉の隙間からさす陽光を受け、ひっそりと静かに佇んでいた。 文句の多いクソうるせーアフロ吸血鬼の塔をせっせと補強してはや一週間……。 辛い七日間を血反吐をぶちまけながら過ごし、やっと! 麗しのニイナちゃん、他三名が待つ我が心の憩いの屋へと急ぎ帰ってきたのに――バステトはもぬけの殻だった……。 術者が不在で召喚物だけが転がっているのもおかしいので、きっとすぐ帰ってくるだろうと軽く踏んでいたものの、三日経っても帰ってこなかった時は顎が開きすぎて床についたくらいだ。 ギルドの依頼というのも考えたのだが、ギルドの規定に反する。 一週間以上留守にするならば一言添えていても不思議ではない。 ロインがついてるから仲間が死ぬような事には絶対ならないと思うが……。 それでも一抹の不安は完全には拭い去ることができなかった。 そこで俺は置手紙はないものかとニイナちゃんとカエルラの部屋をくまなく探したものさ。 ふふっ。ニイナちゃん……下着を入れてあるボックスにとんでもないトラップを仕掛けていったんだね。 お兄さん、うっかり触れてしまって半日以上視力を奪われたよ。 その手の魔術は禁術なのに……そんな知識もあったのね。
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