33769人が本棚に入れています
本棚に追加
皮膚をズタズタにされてはかなわない。
「あの、シルフ君」
『ハイ、なんでしょう?』
「その……申し出は嬉しいけどね? あの……」
『ん? あぁ、あははは。姫は心配性ですね。ちゃんと風の結界を纏わせてから運びますから、微風たりとも感じませんよ』
風の……あぁ、なるほど! そういう事か!
ならば安心である。
ということで、かなり大掛かりな風の結界をあたし達三人の周りに張り、その結界を風で押し上げるという方法を選んだあたし。
横で口を尖らせ拗ねるノームをなだめ、なんとか向こう岸に着いたのであった。
「シルフ君、今ゆっくり来たけど、高速飛行なんて出来たりするの?」
『姫一人くらいならばコントロールは出来ますけど、仲間も一緒に、となると高速飛行は難しいですね。姫の負担が大きすぎます』
人を持ち上げる魔法……まぁ、クーラバイン並の魔法を連続的にやらないといけないから難しいか。
「わかった、ありがとう」
しかしあたし一人でならば高速移動が可能ということがわかっただけでも良い。
いざというときに使えるかもしれないわけだし。
一行はどこかへ向かったキリエを探すべく軌跡を追うのであった。一度通ったとはいえ、複雑なこの迷路を一度きりで覚えられるはずはないのだが、キリエが通ったであろう跡は目で見てわかったのでそれをたどる。
最初のコメントを投稿しよう!