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何度このやり取りを繰り返してきただろうか。なのにこのエーレときたら、
『……ま、まァなんだ……。宿主の死はオレ様の死にも繋がるからなァ。見張っといてやらなくちャならんわけだ』
ホントに神かよ……単純なヤツ……。
しかし、そろそろ例のアレも底を尽きかけてきたわけだから、買い出しに行かなくてはならないな。
滅多に売ってないものだから探すの一苦労なのだけれど。例のアレ。
『おァ? アレが……そうじャねェのか? お前が言ってたやつってェのはよォ』
鬱蒼と緑が茂る場所なのに、エーレだけは竜の感覚とやらで目的の在り処が見えているらしい。
俺の目にはまだこれっぽっちも塔らしき物体は見えてはいないのに。
俺の身体からにゅにゅにゅっと背筋を伸ばしてるから、高い位置から見えているってのも理由の一つかもしれない。
とにかく塔は近くにある。
半信半疑ながらもテクテク徒歩を進めていると、
「うぉっ。マジか」
『なァ? オレ様は嘘はつかないのよォ』
コケがビッシリと張り付いて、全身深緑……もはやコケが積もって出来たの? って聞きたいくらいの代物が突如として目の前に現れた!
緑緑し過ぎているせいで森の一部と化し、塔という認知すら出来なかったこの建物。
ちょいちょい小窓らしき穴っぽこも見られるが、果たして機能してるのかどうか怪しいもんだ。
にしてもデカい。一つの城主が持つにしてはちょいと立派過ぎやしないか?
そんなグリーンタワー。どうやら魔王の居城になってしまったのは本当のようである。
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