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この手の使われなくなった廃墟というのはモンスターの生息地になりやすい傾向がある。
そして、モンスターの出入りやケンカがあったりと、建物自体にどんどん傷とかが増えていくもんなのにどうだろう。
コケが剥がれた跡も、モンスターの引っ掻き傷一つついていやしない。
考えられるのは、この辺りのモンスターを統括する、頭首的な立場のヤツがいるって事だ。
故に他の者が立ち入らない。建物に傷一つつかないが成り立つ。
小マメに清掃、コケの補修、張替を行っているとすれば話は別なんだがな。
魔王がそれをやってる光景なんぞ想像もしたくない。
堂々と。ハーハハハハ! とか言って盛大に笑っていて欲しいもんである。
俺が、魔王がここを棲家としていると断定したのは他にも理由がある。
エーレだ。
コイツの反応がまた魔王、もしくは、それに近いものの存在が塔のテッペンにいる事を示唆していた。
塔を見上げたままのエーレに俺は問いかける。
「どうした? やっぱ何かいんのか?」
『……あァ……やけに“古い”臭いがしてなァ。ククク。コイツァ愉しめそうだ』
言ってピシリ、と紫の雷を身体に這わせ、俺の体の中に戻るエーレ。やる気満々、と。
俺もそうだけど。取りこぼしたお宝とかがあればトレジャーハンター冥利につきるってもんだ。そんでマジックアイテムなんぞ売っぱらってちょっとした資金稼ぎ。
うはは! さーて、乗り込みますか。
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