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こういう風に、前向きに考えていないと精神がダメになるのだ。俺という人間は。
ロインは死んだか死んでないか区別がつかないくらいに寝てるし、カエルラとニイナちゃんは街でガールズだけでショッピン。出来ればニイナちゃんの行動にお供したかったのだが、カエルラに邪魔と言われたのでショゲたわけだ。
余った俺は行くアテなく一人、噂の塔に潜入する! くぅぅぅ、悲しいね!
でもいいもんいいもん! 美女はこの俺様がいただいたからな! 独り占めだからな! バカチンロインめ! ついて来なかった事を後悔させてやらぁ!
目指すは塔の天辺あたり。意気揚々と俺はズンズカ塔内部に足を踏み入れた。
そして見事、落とし穴という至極セオリー通りのトラップにひっかかってしまった。
「お邪魔しぬひょええあああああ!」
この浮遊感がたまらないいいいいいいい!
『ものの数秒で罠たァ……クソ間抜けだな。お前ェ』
るせええええええ! ほざく前に助けろよ!
「『トラペゾヘドロン・ゼス』」
何十万回と唱えてきた魔法であるトラペゾヘドロン。その中でも今回はゼスにしまってある品を取り出してみた。
黒く輝く多面体が、差出した右手に出現し、マジックアイテムを呼び出す。
以前ロインと一緒に旅をして回っている時に行商人から手に入れた靴だ。あと十足は持っている。
名をタラリアと言い、白い靴の両サイドには金色の羽が生えている。
『おォ……また別の物を出したか。その魔法はオレ様は気にってるぜェ? 他に何収納してんだよ』
「今はそれどころじゃねえええ! 止まれえええ!」
『んァ? 飛べるんじャねェのかよ? それ』
飛べるか!
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