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生娘をさらう不届きさ。
声の主のあのキザったらしい口調。
魔物をペット扱いできる実力、権力、階級。
塔を棲家としちゃう変わった趣味。
そして俺の事を“人間”呼ばわりした点。
己が強いと過信し、人間よりも種族的に立場が上だとしている思想、他を見下すバカっぷりもまた判断材料に足るもの。
総合的に考えて、幾つか心当たりのあるモンスターが頭に浮かんできたが、消去法で浮かんだ候補を順に削除していくと、自ずと答えは導かれる。
『おや……もうご到着ですか』
あ、最上階についてた。何時のまに……。考え事をするとついつい時間を忘れてしまう。
音をたてて壊れる籠手を払いのけつつ辺りを確認してみた。で、感想はと言うと、
「あらっ、良い部屋じゃないの」
思ったよりいい部屋だった。俺の部屋よりもずっと。
少々床にあいた大穴が気に入らないが、なかなかどうして、住み心地のよさそうな部屋である。絨毯も……何コレ、すっげぇ良い素材使ってんじゃん。
ぬああああっとぉぉぉ!?
窓が一つもないのが残念! タバコを吸った後が大変じゃないか。あとで壁に穴あけて窓代わりを作るとするか。
思いつつタバコに火をつけ一仕事後の一服を開始する。魔力を消費した後ってのはどうにも吸いたくなる。
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