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『確かにな。湿気臭いのが気に入ら……ん? あのデケェぶら下がった邪魔な物は一体なんだァ?』
「すぱー……タバコうんめぇ。あぁ? シャンデリアだ、ありゃ。綺麗だろ」
『邪魔だな。狭っくるしくてかなわん』
「オシャレの代名詞だぜ? 部屋に一つあれば金持ち感が出るじゃないの。たっはっは」
『人間の考える事は未だにわからねェ……天井との高さを低くしてどうすんだよォ』
『ちょっと君タチ。……あ、え? 達? 独り言?』
数分前は「うわ」だの「あちゃー」だの「マジか」だのと普段では決してついて出ない言葉を連呼していたコイツ。
今では落ち着き払って赤いゴージャスな椅子に腰かけていたりする。
あの椅子は……売ればかなりの金になりそうだな。壊さないように気をつけよう。
どうやら男は、今はエーレが姿を見せていないため、又俺の頭の中に直接話しかけてきているために俺が独り言を言っているように思ってしまったようだ。
スカしたタイトな黒の服装に小ぶりなマント。俺の大嫌いな“微笑”から見え隠れする白い牙。
スラっとした高い鼻の上に乗っているのは太陽嫌いの象徴である真っ黒なサングラス。
血の入ったワイングラス片手に、小麦色に焼けた健康そうな肌、魂も煮えたぎるソウルフルなアフロヘア……。
くっくっく、俺の想像通り!
こいつは間違いなく正真正銘、ヴァンパ……イ……アの……ヴァンパイアの……ヴァン?
ちょっと待てコラ。小麦色の焼けた肌だぁああああああああ?
「テメェ、くぉら!! 一体どういうつもりだ!!!!」
ビシィ、っと指をさし、間違いだらけの箇所を指摘する! 特に頭の部分を。
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