33768人が本棚に入れています
本棚に追加
/659ページ
渡された石を思い出す。
俺の背中が建物を囲う壁に着いた。
「石が……何だって?」
『王よ。今すぐ立ち去ろう』
「石は確実に配置してください。そこが最も重要なのです。私にとって。この世にとっても」
わけがわからん。何故石を置くことがそんなに大事なのか。かつそれがコイツのためならともかく、世のためだと?
『耳を貸すな、王。壁を蹴って外に出よう』
いや、待てファタル。俺はヤツの口から何がどうなっているかを聞きたい。
「あの石が何になる」
「簡単な話です。力を弱めてくれます。それがどう影響するかはさておき、とにかく力を弱めてくれるのです。そのための研究を色々と重ねましたからねぇ」
「何の――」
「んーそれについては言葉は無用でしょう。これが全てです」
瞬間――ゴゥッ!!
「なっ!?」
ヨルオムが片手を俺にかざす。
そんな変哲のない動作のみで、大気が歪み見えない圧に押され俺の体は壁にうちつけられていた。防御をしようにも何が起こったのかさっぱりだ。
抗おうにもこの力……パワーでどうこう出来るような代物じゃあない。
「ぐっ、ぬおぉ……おぉぉおぉ」
まだ押されてるっ。全身の筋肉をフル活用してるっつーのに、何だコレ!
あっちはあっちで涼しい顔したままでいやがるし。
最初のコメントを投稿しよう!