~潜入!? 陰謀!? 引かれ合う二人~

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渡された石を思い出す。 俺の背中が建物を囲う壁に着いた。 「石が……何だって?」 『王よ。今すぐ立ち去ろう』 「石は確実に配置してください。そこが最も重要なのです。私にとって。この世にとっても」 わけがわからん。何故石を置くことがそんなに大事なのか。かつそれがコイツのためならともかく、世のためだと? 『耳を貸すな、王。壁を蹴って外に出よう』 いや、待てファタル。俺はヤツの口から何がどうなっているかを聞きたい。 「あの石が何になる」 「簡単な話です。力を弱めてくれます。それがどう影響するかはさておき、とにかく力を弱めてくれるのです。そのための研究を色々と重ねましたからねぇ」 「何の――」 「んーそれについては言葉は無用でしょう。これが全てです」 瞬間――ゴゥッ!! 「なっ!?」 ヨルオムが片手を俺にかざす。 そんな変哲のない動作のみで、大気が歪み見えない圧に押され俺の体は壁にうちつけられていた。防御をしようにも何が起こったのかさっぱりだ。 抗おうにもこの力……パワーでどうこう出来るような代物じゃあない。 「ぐっ、ぬおぉ……おぉぉおぉ」 まだ押されてるっ。全身の筋肉をフル活用してるっつーのに、何だコレ! あっちはあっちで涼しい顔したままでいやがるし。
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