~嵐が来る~

2/7
33766人が本棚に入れています
本棚に追加
/659ページ
気配に気付き目を開いた時には既に決着はついていた。 喉と胸の二箇所に突きつけられた短剣らしきチクリとした感触が、俺の敗北を否応なく知らしめている。 急所にグサリ。的確な位置だ。どちらか一点をやられれば俺の命も切れる。二箇所ってのが賢いやり口だ。 それもかなりの手練。侵入を許すまで近づけるとは。 あれ? 窓開いてたっけ? あぁぁぁ……なーんも覚えてねーや。ここどこだよ。ベッド? 寝てる? 俺の部屋だ。薄明かりの中、見覚えのある景色に俺の部屋だと断定する。 となると、バステトの中って事か。寝てるのはわかったが、今何時だ? 真っ暗だぞ。 カーテンが閉められているからとかじゃない理由。寒さからも、単に暗い時間なのだ。夜。夜中? 朝方でもなさそうだし。 臭い、髪の具合、皮膚のベタつきからして二日三日かな、寝てたのは。 頭痛ぇな、おい。背中が痛い。うまく寝返りもうててねーな、こりゃ。 体の重さときたらたまったもんじゃねーし。 俺をまたいで上に乗っかってるヤツを無視して、視線を横に倒してみる。 並べられたベッドがロインのものであるとわかるまでに数秒かかった。 はぁぁ、頭まわってねぇし。アイツいねぇし。急激に腹減ってきたし。 ここ俺の部屋だよな? なーんで俺の部屋にロインのベッドが……。 っつか重いな! いつまで乗っかってる気だコイツ。 「殺す気があるならさっさとやれよ」
/659ページ

最初のコメントを投稿しよう!