33766人が本棚に入れています
本棚に追加
/659ページ
「俺が眠ってた時間は?」
『約四日ってところだなァ』
十分。まずは自己回復能力を高める魔法から始めてみた。
ドラゴンのように、周りの氣を取り込んで自身の糧にする術でも身につけてりゃさ、四日なんて日数かければどんな傷も完治できてしまうのになぁ。
あーやだやだ、人間って不憫で不便。
重ねがけの魔法にも相乗効果が得られるもの、得られないものがある。比較的白魔術系統は重ねがけがしやすい分類の多い魔法属性なので、俺が腕を動かせるようになるまでさほど時間はかからなかったりする。
むくりと起き上がると怪しげな小瓶が枕元に一緒になって転がっていた。
中の液体が弱々しく光っているのが胡散臭い。
が、見覚えのあるその形と中身にうっすらと笑みがこぼれてしまった。ただの瓶なのに、俺がバステトまでどうやって戻ってきたのか、その瓶を見ただけで容易に想像できてしまった。
吸血鬼のはからいに感謝。
机の上に置かれた義手に手をかけ装着する。壊れてない。動く動く。
丁寧にかけられていた布団をはがすと、
「あら?」
体の至るところに回復魔法陣の描かれた紙がはっつけられているのに気付く。
あらら。誰がこんなに回復を……。
ニイナちゃんやカエルラでないとするとアフロ吸血鬼がやってくれたのかな? ここまで回復をしなければならなかった事と、そこまで回復呪文をかけられて四日も経つのに回復しきれていない俺の体の異常さに驚いた。
最初のコメントを投稿しよう!