~盲目の信仰者~

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現に横に並んだ時、彼は目を瞑っていたわけだし。 ただならぬ雰囲気、オーラ、氣の持ちよう。 修道服を着た修道士が纏う威圧感ではない。 ロインも気づいていないわけがないはずなのに。 この男――できる。 しかし、できるヤツほどその気配を断ち、普段の生活で闘気を常時出し続けるなんてしやしない。 よほど腹の立つ思いをしたか、この店内に気に食わないヤツがいるのか、それとも常にこんなヤツなのか……。 もやもやとした気持ちは晴れぬまま、 「マスター、メニュー表」 バカがいつもの調子でモノを頼む。無理やり引っ張ってあいてる席をもう一度探そうとも考えたがこれで不可能になってしまった。 「あっ、あぁ。今出すよ。えーと、メニュー表メニュー表……」 変わらず注文を頼もうとするロインに拍子抜けしたような顔をしたのははげ頭のマスター。 凍りついた空気に一緒になって思考が止まっていた様子だ。 マスターが恐る恐る差しのべたメニュー表を、ロインはじっくりと舐めるように眺め、 「サラダ以外全部よろしく。デザートはこの左半分に載ってるやつだけでいいや。酒はーんーマスターの後ろにあるやつの、そこの巻き巻きの螺旋描いた変な瓶の酒飲んでみる!」 呆気にとられる“店内の客全員”と店員達。 わたし達はこの手のロインの注文には慣れてるから、他人のフリをしながら仕方なしに席につく。
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