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春、桜の花びらが舞う頃
ドレスアップをした可愛らしい女の子2人が一台の黒い車に乗っていた。
「あの…華園さん…?」
私、舞風 美柚は隣に座っている
華園 凛に恐る恐る声をかけた。
「もぅ…美柚さんったら、私の事は凛とお呼びくださいと申したでしょう?」
華…じゃなくて凛ちゃんは
ぷくぅ…と可愛らしく頬を膨らました。
「ごめんごめん、つい。」
「美柚さんは相変わらずですわ。」
そう言って凛ちゃんはクスッと笑った。
本当に凛ちゃんは女の私から見ても可愛いと思う。
くりっとしたハニーブラウンの瞳に影を落とす長い睫毛。
ふわふわの少し癖のあるパッションピンクの髪は
綺麗にまとめられシルバーの綺麗な髪飾りが良く似合っている。
「そういえば、さっきから気になってたんだけど…」
「なんでしょう?」
「なんで私はドレスを着てるのかな…」
ため息をつきながら
着なれないドレスの裾を持ち上げる。
「なぜって今日は大事な入学式ですもの、当然ですわ。」
さっきからこの言葉を何回聞いただろう。
そう、確かに今日は入学式。
だけど私にはドレスを着て行く必要性が全くわからない。
「はぁ…」
一体この先に何が待ち受けているのやら。
ちなみに今は凛ちゃんの
リムジンでその新しく入学する学園に向かっている。
でも、その学園は超が付くほどのお金持ち学園。
もちろん、私がそんなお金持ちなわけもなく…
一般人の一般的常識しか持ち合わせていない私には
入学式にドレスを着て行く学園だなんて
さっぱり理解できない。
私、絶対場違いに決まってる。
全くどうしたものか。
「ふふっ…」
物思いにふけっていると隣で笑い声がした。
「なに??」
笑い声の主であろう隣を見る。
「いえ、美柚さん眉間に皺が寄ってますよ??」
そう言って眉間をちょんっとつつかれた。
「ん…??あぁ、ごめん。」
ただでさえ悪い目つきだ
相当険しい顔になっていたに違いない。
「いえ…私、嬉しいんです。美柚さんと同じ学園に通えることが!」
そう言って凛ちゃんは本当に嬉しそうに笑った。
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