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「わかった。じゃあ、あたしの気になってる人も教える。んーとね、私は玄野君かな」
少し照れながら小声で佳奈は答えた。今の声が聞こえたのは耳をすましていた冬弥と千早ぐらいのものだろう。
「よし。私は言ったよ。じゃあ次はちーちゃんの番」
(千早ちゃんの好きな人かー。どうせ一組の上田とか四組の高田とか、カッコいいとか頭が良かったりとか運動のできる奴とかだよな。てか静香さんの好きな人って圭かよ……。絶対に圭には言わないけど)
「私の好きな人はー、
やっぱり言わない!」
「えー! ちーちゃんずるい! あたしが言ったんだからいいなさいー!」
千早のほっぺを引っ張りながら佳奈は言った。先ほどの声と打って変わってすごく大きな声である。
「んー! んーー!」
ほっぺを引っ張られ何て言っているのか聞こえない千早をよそに冬弥は、
(千早ちゃんの好きな人聞きたかったな……)
自分だったらいいのに、と思ってしまう冬弥であった。
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