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高らかにチャイムが鳴り響く。
学校が終わったのをチャイムに知らせてもらい、冬弥は帰る支度をする。
「圭ー。今日も一緒に帰ろうぜ」
「悪い冬弥! 今日はアンモニア猪木の新しいDVDが出るから、先に帰らしてもらう! 限定版だから急がないと売り切れるー!」
圭は教室からすごい勢いですっ飛んでいった。
(仕方がない、一人で帰るか)
冬弥は寂しく一人で帰路につく。あまり遠くない家に向かって順調に歩き始めていた。
家に帰ると、母が夕食の準備をしていた。
「ああ冬弥。お帰り」
「ただいま」
素っ気ない返事だが、冬弥は両親と仲がとてもいい。抜群の親子関係といえるだろう。
軽快に階段を上って、部屋に着いた。冬弥はカバンをおろしてベッドに横になった。
(どうしたら千早ちゃんは振り向いてくれるのかな……)
長い黒髪、顔立ちの整った容姿。花に例えるなら百合のようだ。
冬弥は不釣り合いだ、と思った。
そう考えていると、冬弥は激しい睡魔に襲われた。寝てしまう直前、冬弥は今日こそ夢が見れそうな気がしていた。
この睡眠が今後を大きく左右するとは、夢にも思わずに……。
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