42人が本棚に入れています
本棚に追加
…ぁ…あ…。
頭が痛い…気持ちが悪い…。
ここ何処…。
『…ぁ…和子チャン、水、ほら、お水飲んで…』
『…ぇ…うぇぇ、うっそぉ〰美智子、美智子起きて!!』
『ぁ…和子チャン、大丈夫だよぉ~、店長もイイって言ってたからぁ。僕が見てるから、安心してまだ寝てていいよ。あんだけ飲んだんだもん。まだ気持ちワルイでしょ?大丈夫?ハイ、お水。』
『…私達三人だけ?他の人は?』
『うん、みんな帰ったよ。だから僕が見張っていたの。だから、安心して。』
ものすごい吐き気が込み上げていたのが、嘘のように…すうーっと引いた。
晋也の笑顔を…見ていたら…。
ほんの一瞬だけ…。
『ダメだ。吐く…』
『あっ、コレでいいよ。ほら、吐いて。いいから。ココで。』
人生最大の汚点…氷を入れていた銀色の洒落たヤツに…やってしまった…。
抱き抱えたアイスペールから、やっとの思いで、涙目を上げて見たら、にんまりと優しく笑う晋也の顔が滲んで見えた。
『ねっ、吐けば治るよ。ねっ、お水飲んで。ハイ。』
差し出した右手の袖口から肘にかけて、私の吐瀉物で汚れていた。
『気にしなくていいよ。ハイ、お水、飲んで。』
…………こんな美味しい水は……生まれて初めて飲んだわ…私。
…吐瀉物まみれだけど…。
『もう一杯飲む?少し横になる?いいよ、僕がずっと見張っておくから…。』
まだ現実を見る勇気が持てない私はもう一度、瞼を閉じて真っ暗な世界に戻った。
大きなソファーに寝転ぶ美智子の頼もしい太ももに頭を乗せて…。
あっ…上着を毛布代わりに掛けてくれてたんだ。
凄い…趣味の悪い上着だけど…。
瞼には…何故だか晋也の笑顔が焼き付いて離れなかった。
…っつーか、この時に家に帰りゃよかったんだよ…(涙)お馬鹿…。
最初のコメントを投稿しよう!