…溺れる人々…

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…ぁ…あ…。 頭が痛い…気持ちが悪い…。 ここ何処…。 『…ぁ…和子チャン、水、ほら、お水飲んで…』 『…ぇ…うぇぇ、うっそぉ〰美智子、美智子起きて!!』 『ぁ…和子チャン、大丈夫だよぉ~、店長もイイって言ってたからぁ。僕が見てるから、安心してまだ寝てていいよ。あんだけ飲んだんだもん。まだ気持ちワルイでしょ?大丈夫?ハイ、お水。』 『…私達三人だけ?他の人は?』 『うん、みんな帰ったよ。だから僕が見張っていたの。だから、安心して。』 ものすごい吐き気が込み上げていたのが、嘘のように…すうーっと引いた。 晋也の笑顔を…見ていたら…。 ほんの一瞬だけ…。 『ダメだ。吐く…』 『あっ、コレでいいよ。ほら、吐いて。いいから。ココで。』 人生最大の汚点…氷を入れていた銀色の洒落たヤツに…やってしまった…。 抱き抱えたアイスペールから、やっとの思いで、涙目を上げて見たら、にんまりと優しく笑う晋也の顔が滲んで見えた。 『ねっ、吐けば治るよ。ねっ、お水飲んで。ハイ。』 差し出した右手の袖口から肘にかけて、私の吐瀉物で汚れていた。 『気にしなくていいよ。ハイ、お水、飲んで。』 …………こんな美味しい水は……生まれて初めて飲んだわ…私。 …吐瀉物まみれだけど…。 『もう一杯飲む?少し横になる?いいよ、僕がずっと見張っておくから…。』 まだ現実を見る勇気が持てない私はもう一度、瞼を閉じて真っ暗な世界に戻った。 大きなソファーに寝転ぶ美智子の頼もしい太ももに頭を乗せて…。 あっ…上着を毛布代わりに掛けてくれてたんだ。 凄い…趣味の悪い上着だけど…。 瞼には…何故だか晋也の笑顔が焼き付いて離れなかった。 …っつーか、この時に家に帰りゃよかったんだよ…(涙)お馬鹿…。
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