…溺れる人々…

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私は、佐川遙…就職浪人したまま、もう、25歳の女であります。 居酒屋のバイトしながら暮らしています。 彼氏? ボーイフレンドならいるケド…ね。 うーん、全てが微妙かもしんない。 とにかく、毎日がつまんない。 いっつも同じ日常の繰り返しだから、つまんない。 サラリーマンしてる父親とスーパーのパートしてる母親、女子大生の妹の四人暮らし。 郊外の建て売りを購入して15年。 家も少々、古びてきた。 ご近所には、煩いオバサンばっかり生息している。 「遙ちゃん、どちらに就職したの?えぇっ!?…んまぁ…まだ居酒屋で…?それは大変ねぇ…」 毎回、おんなじ事、聞かないでもらいたい。 一流企業に就職したら、聞かれなくてもすぐ、言いに行くから…。 ピンポン、ピンポン、何回も押しちゃうから…。 あたしは、姿形も、並の並。 その辺に落ちてる「落ち葉的な女」よ。 秋だけ…集団で色付いていたら目立つかな…程度の。 …つまんない。 誰か、あたしに刺激をくれないかしら。 この…つまんない日常から引っ張り上げてくれないかしら。 えっ? 他力本願じゃないかだって? 当たり前じゃん、二十歳過ぎたら、望みは「他力」じゃなきゃ、叶わなくなんの。 あぁ、誰か…あたしの手を引っ張って!! お願い~!! 出来れば…いいオトコだと嬉しいんだけど。
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