…溺れる人々…

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『…はい、田中です。』 『あっ、遙です。おばさん、お久しぶりです。香、います?』 あたしは暇だから、アルバイトの時間まで、お茶でもして時間潰そうかと考えた。 土曜日の朝から暇なのは香くらいだろう。 香は、高校時代からの付き合いの友人である。 一緒に街中を歩いていると、振り向かれたりした事もあったっけ…。 そう…香は筋肉質な女だから、男がセーラー服を来てると思われて…ヤダ、言っちゃった。 …内緒ね! 最初、香の携帯に電話したけど、繋がらなかった。 仕方がないから、家電に電話したのだ。 『…ちょっと…、遙…ちゃん…あ、あの…お願い、調べてくんないかしら?頼めない?あなた位の年齢のほうが調べやすい…だから、お願い。あのね、ホストのね、シンヤって調べて…教え…あっ、まずいわ、旦那来たから切るわよ。お願いよ、遙ちゃ…ガチャン。』 『も…もしもし、もしもしっ!!』 えっ…? あっ…ホ…ホスト? あの…言っちゃ悪いが、あのゴリラ女と呼ばれいた香が…ホストに…嵌まった? おばさん、泣いているみたいだった。 そのシンヤとかいうのに、香が騙されているから、おばさんが心配して…そして、ちょうど電話してきた私に頼んだんだ。 …ヤバい、ヤバいよ。 香は、駅前にある地元の信用金庫に就職したんだよ。 …よく見るよね? ○○新聞一面 『▲▲信用金庫の使い込み事件はなんとホストに嵌まった女子行員の犯行だった!』 …大変だ。 大変な事になった。 大事件だよ。
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