そうだ、ヒロインを捜そう

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はい、というわけで僕は現在街の中をぶらぶらしています。洋風な作りをさせた家が多く、赤茶色のレンガを取り入れて上げ下げ可能な窓とその窓を着飾るように備え付けられた花壇が目立つ建物が多く行き交う人々とすれ違いながら歩いていた。 アーベーは女なんていらんと相変わらず反対してるけど主である僕にちゃんと張り付いている。 嫌々ではあるけど一緒に来てくれる辺り主想いだねぇ、と感激するよ。 「きゃーっ、悠司様あぁぁ!!」 「あのAランクの奴等を一発で!すげーなあいつ!」 騒がしい声が聞こえたので目線だけそちらに向かせると何やら立派な建物の前で勇者君が女の子に囲まれていた。白い柱と手作りっぽい看板を入り口の真上に飾っていて剣の装飾やドラゴンの石像がよく目立つその建物。他にも何やら騒いでいる人や発言から察するに、多分あそこのギルドで絡まれた男達を倒した…ってところなんだろうな。 レクス「さすが主人公、目立ちまくりだね」 アーベー「女の前で笑っているなんてだらしない奴だ、男の世界を知ったらあんな奴等に愛想振りまく必要はないだろうに」 レクス「何ベンチに座ってやらないか?の準備してるの」 丁度近くにあるベンチに座って勇者君がそこを通ったらあの言葉を言うつもりだったのか……どちらにしろ僕が用があるのはヒロインであって主人公じゃないから無理矢理引っ張って先へ進んだ。 エルス「兄さん、あそこのカフェとか良さそうじゃありませんか?ちょっと休憩しましょうよ」 亮「おいこらエルス、俺は買い物に付き合う為にここにいるんじゃねぇんだけど」 エルス「いいじゃないですか、今ギルドに入ったらあれに会いますよ」 ギルドでの騒ぎが起きている近くでは脇役君が捨てられちゃんの荷物持ちをしながら歩いていた。荷物を次々空間にしまいながら文句を言っているがどうやら二人はギルドに行こうとしたが勇者君の存在によって後回しになっている模様。 それにしてもあれ呼ばわりしちゃう辺り捨てられちゃんもそんな好きじゃないんだね勇者君の事。 アーベー「あの男、女のいいように使われて悲しくないのか?」 レクス「本人達は気にしていないんじゃない?」 アーベー「男は女の便利道具ではないというのに……これだから女は……」 なんかモテない男が僻んで愚痴を漏らしてるみたい
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