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そしてもう1人………
「全く………揉め事は起こすなとあれ程言ったはずだが?」
「あっ、会長だ!!」
「済みません。僕達だけなら問題なかったんですけど………」
「えっ?俺のせい?」
3人の視線を感じ、思わずたじろぐ。
「君は確か………」
俺の事を知っているような感じで話す人。
同じ制服を着ていると言う事は、今日から通う高校の人だろう。
「えっと、久遠歩夢です。」
「そうか、転校生の。俺は久保翔太。君が今日から通う高校の生徒会長をしている。」
(あぁ、ぽいかも………)
またもや妄想が………
「で、転校生である君は、ここで何をしている?」
会長の声で我に返る。
「………喝上げされてる子がいたんで、どうにかしようかと……」
「喝上げ?」
俺の言葉に、会長が2人を睨む。
(あっ、この2人双子だ……)
「おっ、俺は吹っ掛けてなんかないぞ!!アイツ等が睨んできた……から………マサ、会長に角が見えるのは気のせいか?」
「もぉ……そんな風に言ったら、自分からって言ってるような物でしょ………」
「えっ!?そうなの?」
「………タカ、マサ。後で生徒会室だ。」
「はぁーい。」
「分かりました。」
2人の返事を聞いてから、会長は俺に向き直った。
「君には、あの場をどうにか出来たのか?」
「…………どうにも出来なかった………です。」
「だったら、どうしてそんな事をした?」
どうしてって………
「殴られるにしても、2人より3人の方が良いかなと。」
「…………自分もやられるつもりだったのか?」
「まぁ、そう言う事になりますかね。喧嘩なんかした事ないんで。でも、人がやられるのを見てるよりマシですから。」
これは両親から散々言われてきた事だ。
『自分だけがラクをするな。相手の立場に立ってみろ。』 と。
その行動が、相手に嫌だと思われたり、良いように使われたりしたら、それは自分の力不足だ、と。
「今日の所はお咎めなしだが、もう無謀な事はするな。」
「………ハイ。」
「分かれば良い。」
そう言って会長は去って行った。
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