ー1ー

5/11
前へ
/170ページ
次へ
そしてもう1人……… 「全く………揉め事は起こすなとあれ程言ったはずだが?」 「あっ、会長だ!!」 「済みません。僕達だけなら問題なかったんですけど………」 「えっ?俺のせい?」 3人の視線を感じ、思わずたじろぐ。 「君は確か………」 俺の事を知っているような感じで話す人。 同じ制服を着ていると言う事は、今日から通う高校の人だろう。 「えっと、久遠歩夢です。」 「そうか、転校生の。俺は久保翔太。君が今日から通う高校の生徒会長をしている。」 (あぁ、ぽいかも………) またもや妄想が……… 「で、転校生である君は、ここで何をしている?」 会長の声で我に返る。 「………喝上げされてる子がいたんで、どうにかしようかと……」 「喝上げ?」 俺の言葉に、会長が2人を睨む。 (あっ、この2人双子だ……) 「おっ、俺は吹っ掛けてなんかないぞ!!アイツ等が睨んできた……から………マサ、会長に角が見えるのは気のせいか?」 「もぉ……そんな風に言ったら、自分からって言ってるような物でしょ………」 「えっ!?そうなの?」 「………タカ、マサ。後で生徒会室だ。」 「はぁーい。」 「分かりました。」 2人の返事を聞いてから、会長は俺に向き直った。 「君には、あの場をどうにか出来たのか?」 「…………どうにも出来なかった………です。」 「だったら、どうしてそんな事をした?」 どうしてって……… 「殴られるにしても、2人より3人の方が良いかなと。」 「…………自分もやられるつもりだったのか?」 「まぁ、そう言う事になりますかね。喧嘩なんかした事ないんで。でも、人がやられるのを見てるよりマシですから。」 これは両親から散々言われてきた事だ。 『自分だけがラクをするな。相手の立場に立ってみろ。』 と。 その行動が、相手に嫌だと思われたり、良いように使われたりしたら、それは自分の力不足だ、と。 「今日の所はお咎めなしだが、もう無謀な事はするな。」 「………ハイ。」 「分かれば良い。」 そう言って会長は去って行った。 .
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3524人が本棚に入れています
本棚に追加