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会長の姿が見えなくなり、俺はその場にしゃがみ込んだ。 「はぁ。何だ、あの威圧感……」 蛇に睨まれた蛙って言葉を、身をもって体験した気分だ。 「怖いだろ、あの人。」 双子くんの片割れが、声を掛けてきた。 「あぁ、何て言うか……オーラがすごかった。敵に回したくないタイプだな。」 「僕もそう思うよ。」 「ってかアンタ面白いなっ!!」 「………」 急にそんな事を言われても……… 「あっ、俺、孝臣。で、コイツが弟の正臣。弟って言っても、双子だけどな。」 「土屋正臣です。久遠歩夢くん、でしたっけ?よろしくお願いします。」 「よろしくお願い……しま………あのさ、何年生?」 俺より少し小さい2人。 先輩には見えなくて……… 「僕達は1年だよ。」 「そっか!!俺も1年なんだよ。だから、敬語はやめてくれ。名前も呼び捨てで良い。」 「歩夢………くん?」 「うん、それなら良いや。」 「僕の事はマサって呼んで。」 「俺はタカで良いぞ、歩夢!!」 「了解。それにしても………」 俺は2人を交互に見つめる。 「そっくりだろ!!」 「一卵性だからね。今は髪型も同じだし。」 喧嘩の後だからか、同じように髪が乱れている。 「んー……そっくりだけど、全然違う。」 「えっ?」 確かに、見た目も声もそっくりだけど……… 「双子に対して別人に見えるって言い方はおかしいか?」 「あぁ、おかしい。」 「うん、おかしい。」 さすが双子、息ピッタリだ。 「俺の事、バカにしてない?」 「違うよ。初対面でそんな事を言われたの初めてで、ちょっとびっくりしただけ。」 「………ごめん。」 思った事をつい口にしてしまう、俺の悪い癖だ。 「あははっ……やっぱり歩夢って面白いな!!俺、お前の事気に入った!!」 「そりゃどうも。」 好かれるのは嬉しいが、どうせなら女の子が良い。 でも、この2人となら良い関係を築けそうな気がした。 「タカ、歩夢くんが引いてる。」 「おぉ。悪い、悪い。じゃあ、学校行こうぜ!!」 「だな。」 「そうだね。」 俺達は学校に向かい歩き出した。 .
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