3525人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の名前は久遠歩夢。
ちょっと変わった趣味を持つ、ごく普通の高校生だ。
1週間前、この街に引っ越してきた。
高校1年生の冬休みと言う、何とも微妙な時期に引っ越す事になったのは、父さんの仕事の事情。
今まで通っていた高校が気に入っていた俺は激しく抵抗したけど、あの母さんに勝てる訳もなく、この街に来る事になってしまった。
そして今朝………
『私達の分もお参りよろしく!!』
と爽やかな笑顔で言われ、下手な(本人には言えないけど)地図片手に近くにあるであろう神社へ向かった。
そして案の定、迷子になったと言う訳だった。
「この歳で迷子とか有り得ないし………交番とかないのかよ……」
交番を探そうにも、それだってどこにあるのかも分からない。
周りを見ても足早に歩く人達ばかりで、とても聞けるような雰囲気じゃない。
「はぁ…新年早々ついてないな。って言うか、転校が決まった時点で………ん?」
道端にしゃがみ込み、俯いて文句を言っていると、急に目の前が暗くなった。
「………」
何事かと思い顔を上げると、目の前には可愛らしい男のコがいた。
「どうかしましたか?」
俺の方を見ているような気がするけど、会った事のない男のコだ。
と言うか、こんな男のコに会っていたら、俺のこの頭が絶対に忘れるはずがない。
人違いだろうと左右を見渡していたら、ガシッと肩を掴まれて、顔を覗き込まれた。
「こんなベタな事するのって、渚くんぐらいかと思ってた。」
「そうだな。」
「……俺の事………ですよね。」
「そう、キミ。」
そう言ってニッコリ笑った可愛らしい男のコの後ろには、背の高いカッコイイ男の子がいた。
.
最初のコメントを投稿しよう!