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「でさ、この子誰なの?」
「さぁ。僕も分かんなくて。」
後から来た男のコ(多分、名前を呼んだ子かな)が、俺の顔を覗き込んでいる。
「…………(この子はどんな感じだろ……)」
頭の中で妄想しながら、マジマジと顔を見ていたら、不意に彼が視界から消えた。
視線を巡らせると、彼を抱き寄せている鋭い目をした男の子と目が合った。
(あっ、独占欲とか嫉妬心……)
思わずニヤニヤしてしまう。
「ねぇ、早く行こうよ~。」
また新たに聞こえた声の方に目を向けると、これまた可愛い男のコと、彼にベッタリくっついているこれまたカッコイイ男の子。
「そうだね。」
最初に声を掛けてくれた男のコが返事をしてから、俺の方に向き直った。
「それで………キミはここで何をしてるの?」
そう声を掛けられ我に返った。
「っと、ここに行きたくて……」
俺は、母さんに渡された紙を彼に見せた。
彼はすぐに分かったみたいで、地図を細かく書き直してくれた。
「これで大丈夫。」
「ありがとうございます。」
「どう致しまして~。」
お礼を言うと、彼等は爽やかに去って行った。
(また会いたい………)
そんな事を思いながら歩き出す。
だけど………
今日出会った彼等やその知り合い達が、俺の人生を大きく変えると言う事を、この時の俺はまだ知らなかった………
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