3522人が本棚に入れています
本棚に追加
/170ページ
「うわぁ……さみぃ……」
現在、朝の6時半。
真新しい制服に身を包み、コートを羽織り、マフラーを巻いて、手袋をして、家を出た。
寒がりな俺にとっては、かなり辛い季節だ。
肩を強張らせながら歩く。
転校初日ぐらい、ゆっくりしてから学校に行きたかった。
だから、日課の(やりたくないけど母さんに付き合わされている)ジョギングを断ったら、走らなくて良いからコースを歩いてから学校に行け、と言われた。
文句を言ってみたけど、鶴の一声に俺は従うしかなかった。
「ったく。何でこんな朝早くから……………ん?」
近所の公園に差し掛かった時、ふと目に入った物に、2歩3歩と足を戻す。
ベンチの背もたれから、はみ出るように、ダラリと下がった足と腕が見えた。
「………足と………腕………えっ………死体……な訳………」
恐る恐るベンチに近付く。
「…………」
1人の男の子が転がっていた。
目を閉じていても分かるくらいに整った顔立ち。
スラッと伸びた手足。
背も高そうだ。
「あの……こんなとこで寝てたら風邪ひきますよ……」
そっと肩を揺らしてみた。
「……んっ………」
「あっ、起き………た…………」
ゆっくりと開いていく瞳。
目が合った瞬間、そのキレイな瞳に吸い込まれるかと思った………
.
最初のコメントを投稿しよう!