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事の展開が把握出来ず、泣きながらも上体を起こしてお客さんの様子を伺う。
?
声を掛けようとした瞬間。
「…あの…。」
「ごめんなさい!」
お客さんの叫び声に私の力無い声は掻き消された。
「まさか泣くなんて思ってなかった!
本当に本当にごめんなさい!
許して下さい!」
額を床に擦り付け必死に謝罪をするお客さん。
私はと言うと。
ベットの上で掛布団で体を隠したまま、呆気に取られて言葉を失ってしまう。
「そんなに謝るなら最初からしなきゃ良いのに…。」
正直怒りが込み上げて来る。
「はい、その通りです!
本当にごめんなさい!」
きっとこの人…心底悪い人じゃ無いんだろうな…。
そんな雰囲気を感じ取って、私の気も少し緩んでしまう。
掛布団を引きずりながらベットから降りて、お客さんの正面に正座をしてすわり。
「…もう良いですよ。
止めてくれて有り難うございます。」
私の言葉にビックリしたのか、お客さんは凄い勢いで顔を上げ私の顔を凝視して来た。
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