焼肉屋

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いきなりなんだけど、 ハッタリの家が焼肉屋になった。 ハッタリ母、本場の味を提供すると豪語して鼻高々に開店した。 ライブ前、ハッタリが皆を焼肉屋に招待。 『うちは本場の味だからさ!』 離れた細い目を更に細くして微笑むハッタリ。 バンド仲間達やら地元の遊び仲間達やら片想いの娘とその仲間達やらに声を掛けたんで貸切りに。 食べ盛り真っ盛り。 本場の味を堪能致しました。 美味しかったです。 ハッタリ母さんありがとう。 それにしてもよく食べたな…。 ハッタリはちゃっかりと片想いの娘のテーブルに座ってたし。 嬉しかったんだろうな…。 わかるわかる。 でもさ…。 テンションがちょっとだけ上がっちゃったんだよね、きっと。 可愛いあの娘が目の前に居たし。 俺さ、正直ヤバくね?って思ったよ。 何がって? いくらなんでもさ、可愛いあの娘にイイカッコ見せたかったのはわかるんだけど… 『あ、今日は俺のおごりだから』 なんて引きつって言っちゃって。 本当大丈夫?ハッタリ。 『ま、大丈夫大丈夫。余裕!』 可愛いあの娘も笑顔だったしね。 でもね、月日が経った今 お前の実家の前を通る度に思い出すんだよね。 あの日、皆が帰った後で俺はまだ外に居たんだよ。 で、お前が母さんにこっ酷く怒られていたの聞こえてたんだ。 俺、後でカンパしたのはお前に悪いなって思ったからなんだよ。 でもね、もっと悪いなって思ったのは、あの後しばらくしてさ お前の実家の焼肉屋さ、 店やめちゃったじゃん…。 俺等にも責任があったのかなって 今更ながら思ったよ…(遠い目) でさ、今日実家の前を通ったら、 実家無くなっちゃってたよ…。 ちょっと泣きそうになったよ。
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