始まりの歌

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* ジリジリと地面に照り付ける太陽。 呼吸をするのを躊躇ってしまう程に空気が温い。 夏の風物詩であるアブラゼミは短い生を嘆く様に機械的に鳴き続ける。 そんな真夏のグラウンドでは暑さを物ともせずに部活に励む生徒達の姿があった。 * 私立 鶻(ハヤブサ)学園、通称ファルコニア。 市街から少し離れた自然豊かな土地に、でかでかと聳え立っている。 元々は小さな学園だったのだが、理事長一族の事業成功がきっかけで見る見るうちに大きくなった。 当時は1学年1クラスしか無く、全校生徒は50人程だったという。 今では普通科 理数科 工業科 と、3つの科に別れており、1学年 約15クラスという大規模な学園になっている。 5階建ての5棟編成になっており、食堂や図書館、シャワールーム、寮なども有る。 全寮制では無いが、地方からファルコニアに通う生徒の大半は寮を利用していた。 過保護な程に設備が整っているため年々生徒からの評価は上がり、出願数は常に定員を越えている。 中等部からのエスカレーター入学をした生徒も少なくは無いが、外部入学もほぼ同数だ。 .
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