始まりの歌

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* 『御剣っ!...そのまま行けえっ』 『はいっ、先輩!』 ジリジリ焼けるグラウンドの上を、風を斬りながら走る少年。 染めムラの無い綺麗な金髪が自ら起こした風に乗ってなびいた。 額と頬を伝う汗は小さな丸い粒となって大気に放たれ、空中で蒸発して消えてしまう。 相手チームのディフェンダーは、そんな光景に、つい見入ってしまう。 集中 集中、と自らの頬をぱちんと叩き、再び気を引き締める。 だが、そんな風に見入ってしまう程に、この金髪の少年の動きは華麗で俊敏で、正確だった。 ...ズバンッ 強く蹴り上げたボールは何とか抑止しようとするキーパーをいとも簡単なくぐり抜け、ゴールネットを揺らした。 .
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