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……もしも、
もしも、生まれ変わらなくてはならなかったら……
「もし、異性になれたら、なにがしたいですか?」
映画のクランクアップ会見で、聞かれた質問に、
俺は子を産みたいと答えた。
俺にはどんなに頑張っても一生出来ないこと。
男に生まれた俺には……
子を産むと母になる女性は、同時に守るものが出来る。
痛みと共に産む生命は、自分の血を、遺伝子を後世へと伝えていく。
そうして母は強くなり、俺は産まれた。
けど俺は、俺の愛している人とは、血の繋がった子を育むことは出来ない……
互いに男だから…。
「生まれ変わったら何になりたい?」
君は訊ねる。
「…俺は女に生まれたいですね。」
「どうして?」
「そりゃぁ、あーたと夫婦になるためですよ。」
「出会える保証もないのに?」
「えぇ。けど俺は、必ず見つけて、結ばれてみせます。どんな姿だろうと…。だから、女にはならないでくださいよ?」
そう、君と同性じゃ、また悲劇は繰り返すから……。
君の子を産んで、母親になりたい。
それが、生まれ変わったらなりたい俺…。
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