夢の底へ……

8/14
前へ
/27ページ
次へ
 この子の名前は、【仔犬の娘】。 もちろん本名じゃあ無い、あだ名とかハンドルネームみたいな感じの物だ。 背は低くって、ぼくの胸くらい。 少しだけ赤茶にも見える黒髪が、なだらかにウェーブを描きながら肩を隠すほどまで伸びている。  どこか幼い印象の、明るい子だ。 何となくそうしたくなって、ぼくは彼女の頭をそっと手のひら撫でた。フワフワとした彼女の髪の毛を堪能する。 「あ……えへへ」  突然のぼくの行動にいやな顔をするでもなく、彼女はくすぐったそうに柔らかな微笑みを見せてくれた。 最初の頃は警戒されていたものだが、大分慣れてくれた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加