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「っ…!?」
「や。待った?」
背後から声が聞こえた。
お気楽な、ほわわ~んとか、そんな効果音まで聞こえてきそうな調子のいい声。
振り向くと、そこにいたのはやはり件の彼女、【竜しっぽ】。
普段と変わらない、奇妙な姿の少女だった。
彼女の体格には少し大きめの、袖口と襟元が白く、あとは薄茶色の司祭服のようなガウン。
肩に掛からないくらいの短さで適当にザクザクと切られた、細い金色の髪。その先端は、ライムのような薄く淡い緑色に染められている。
寝癖だらけのボサボサの髪は、彼女の性格をそのまま表しているようだ。……もっとしっかり手入れすれば良いのに。勿体無い。
……そして、ガウンの足元に入れられたスリットから伸びて、彼女の顔の横ほどで先端を揺すらせている長い『尾』。
彼女の名の元ともなった、緑の鱗に覆われた爬虫類系の大きな尻尾。まるで映画のゴジラのようだ。
背中にはガウン越しに黄色い背ビレまで生えている。
いったい何の冗談だというのか……などと見つめ難い現実から逃避するのはさておき、あの尾は実際に間違いなく彼女の尾なのだ。
中に骨が通い、筋肉の付いた、自在に動かすこともできる、正真正銘「彼女の体から生えている身体の一部」なのだ。
余談だが実際に生えている付け根を見たこともある。余談だ。
まあ、こう言ってしまえば益体も無いが、どうせ全ては夢の中での事である。
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