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なになに。「もしかして、“ソレ”って『アレ』の事じゃないか」……って?
うん。さすが、良い勘してるよ。
そう。彼が見たソレは『アレ』だ。
三千世界の台所の、不倶戴天の怨敵。
頭文字Gで、黒光りするボデーが素敵な、例のあの小憎いあんちくしょー。
名前を呼ぶのもオゾましい、『アレ』だ。
……何だい、その顔。
「まさか、それだけの話…?」とでも言いたげだね。
いやいや、まさか。
それは早計が過ぎるというものさ。
そもそも、人類の敵とはいえ、たかだか甲虫の『アレ』を掴まえて“怪異”とは、さすがのぼくも言わないさ。
そう、本当の怪異はこれから。
彼が、果敢にも丸めた新聞紙を手に、『アレ』を追いかけた所から、今回の幕は開くのさ……
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