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大きな風船がたわんで、元に戻った時のような、ひどく気の抜けた音と共に、「夢の世界」が色付いた。
どこまでも広がっていた真っ暗い景色は、ライトオレンジの壁紙と白い天井に遮られた。
ふらふら浮かんでいたような感じだったぼくは、いつの間にか木目調のフローリングの床に立っている。
無限に続いていた虚無的な空間は、落ち着いた色調の喫茶店然とした広めの部屋に。
ご丁寧なことに、木製の四脚背もたれ付きのイスと、清潔そうな白い樹脂製の丸テーブルが整然と並んでいる。
奥の方を見れば、カウンターから覗ける小さな厨房。別の壁際には30インチのテレビまで置いてあった。
いつもながら、この世界は芸が細かい。
いつもの事ながら、この世界を夢見るあの子は実に器用だ。
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