夢の底へ……

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 そう、ぼくはこの世界に見覚えがある。 この夢を形作った、夢を見ているその人にも。  それは僕の知り合いの一人で、ぼくの同業者で、同類で、同朋の女の子。  ふと見渡せば、タッタッタッタッ、と軽快に足音を立ててこちらに走り寄る、彼女の姿が目に見えた。 「夢さん、こんばんは~!」  走り寄ってきたその子はそう叫んで、飛ぶようにぼくへと抱きついてきた。 「……っと、こんばんは、【仔犬の娘】。  久しぶりだね、元気だった?」 「はい!」  飛びついてきたその子を抱き下ろして、そんな風に言葉を返す。 返答は実に元気一杯なものだった。
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