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タバコの依存症があるなら、紅茶の依存症もあるのかもしれない。
とにかく毎日飲まなければ落ちつかなかった。
それは追われるようにして終えた、高校生活最後の日を境目として、どんどんひどくなっていった。
紅茶の色は日に日に濃さを増していき、どろどろとした舌触りがするのではないかというくらいにまでなった。
さじで茶葉をひとさじすくい、それから柔らかい布に包む。
押しつぶすようにして空気を抜きながら茶葉の袋のジッパーをしめる。
少しきつめのアールグレイの香りが鼻の奥をつんと刺激する。
口の細い、華奢な身体つきをしたやかんから、ゆらゆらと白いけむりがのぼりはじめた。
それはステンレス製の銀色をしたキッチンの壁に、淡いシミをつくった。
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