4人が本棚に入れています
本棚に追加
「はぁはぁ!!……っく!………はぁ!!……」
走る
人1人通るのがちょうどの狭い路地を、ただ走る。
「うお!……っりゃ!!」
駆け抜けざまに積んでいたビール箱を引き倒して、それでもただ走る。
俺――〝久境ジン(くさかジン)〟は走っていた。
いや、正確には〝逃げている〟だ
時間はたぶん夕方くらいだが、ビルの間に挟まれたこんな場所では日が遮られてほとんど夜だ。
そのせいで何度も物につまずきそうになりながら、なるべく複雑に角を曲がっていく。
ついてない。
この町に引っ越して、しかも明日から新しい学校だというのに初日からコレだ。
本当に全然まったくもって――
「ついて…っねぇ!!」
2メートル程の柵をとびこえ、そのまま膝に手をついた。 熱くなった息を肺から一気に追い出す。
適当に走ったがかなり距離はかせいだはずだ。
「はぁ……ったく、ここどこだよ」
まったく土地勘のない場所でメチャクチャに走ったから自分がどこにいるのかが分からない。 一息ついて、どうやって帰ろうかと顔を上げる。
最初のコメントを投稿しよう!