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『や…ッ…ヤられちゃえって!!』
ひでぇよニノ!なんて小野さんが叫んでるのが中から聞こえるけど。
「はよ~す」
構わず挨拶しながら楽屋に入ったら。
こっち向いて椅子の上で固まってる小野さんと、ソファでだらーっとしたままのニノを交互に確認した。
「『やられちゃえ?』――って。何を?」
「っ…――なんでもねえよ!」
「オハヨールン君。あのね?」
ニノが話そうとしたら、明らかに小野さんの目は不安そうに泳いでる。
「――今日の対決番組の俺の衣装、絶対やる気ねぇだろ!って小野さんが言うから。次回のアナタの衣装こんな風にヤラれちゃえばいいんですよ、って…」
「ふぅん…」
そんな程度のコトであんなに騒ぐか?とは思ったけど。
「まあいいや。――小野さん今日上がってから時間ある?」
「ゴメン俺――今日は…ダメだ」
って。そういえば俺が楽屋入ってから一度も目も合わせてくれない気がするけど。
「――そっか」
最近は断られた事無かったから、ホントに今日はダメなんだろう、って思って。それ以上深く理由は聞かなかった。
その代わりに、
「ねえルン君!ゴハンなら俺と行こうよ~」
解りやすいぐらい小野さんとは対照的なニノは、笑顔でアピールしてくる。
「――ニノと?」
「何なの?ルン君俺だけじゃ不満だって言うなら、颯ちゃんもつけてあげるから」
3人で行こうよ?って言われて。
「――颯君はオプションかよ…。解った…――じゃあ。店探す」
「え?――まだ決まってなかったの?」
「適当に入ろうかと思ってたから」
ホントは、ニノの誕生日近いから、小野さんとプレゼントの相談をしたかったんだけど…。本人が来たらもう、主旨そのものを変えるしかないから。
何が欲しいかリサーチってコトにしよう。
小野さんには後でメールで相談するか…。って視線を投げたら。
「――!?」
俺と視線が合って、小野さんが驚いた顔して素早く目を逸らしたから。
「――」
こっちを気にしてるってことは。――やっぱりニノに何か、吹き込まれたな?
ニノの奴…後で締め上げてやる。
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