614人が本棚に入れています
本棚に追加
収録後一番に楽屋に捌けて。
あいつ等に弄られないうちに早く帰ろうって急いで支度してたのに。
「小野さん」
行きますよ、なんて。
俺より先回りして帰り支度終わってたニノに腕を掴まれたから。
「――え?…オマエ颯君とルンと3人で晩飯に行くんじゃなかったのか?」
俺は『行かない』って言っただろ?って抵抗したら。
「――やっぱりね…。別に用事もないのにルン君とゴハン行けないってのは。後ろ暗いコトあるからですよね?――あ。ルン君は颯ちゃんに任せたから平気です」
俺は今から小野さんにゴハンを奢って貰います。って。
「――何で?意味がわかんないぞ!?」
「タダじゃないですよ。お返しに晩ゴハンしながら、俺が延々小野さんをお説教します」
俺が長年ルン君から受けたアナタに関する相談事。洗いざらい、全部ぶちまけますから。
気付かないで寝たフリをする小野さんを往復ビンタでたたき起こして。
胃もたれするぐらいお腹一杯になるほど話を聞かせて、猛省させちゃおうって企画ですよ。
「そんなに沢山――相談してたのか?」
「聞いてて涙出るくらい気の毒で…ルン君が健気でしたよ」
「だから俺散々ニノに『悪魔』とか『情緒欠如』とか『傲慢』って言われてたのか?」
「――そうですよ?」
「わかった…。行く」
そんなに俺悪い事してたのなら、ちゃんと聞いてルンに謝んないといけないだろ…。
「――あ。もしかして今の全部本気にした?」
「したぞ?」
「あ。半分は勢いだから」
ゴメンゴメン。5割引きぐらいで聞いといて。なんて言われて。
「――ニノ」
「でも5割引いたって余りある悪の所業と思いますからね?」
「…そうなのか?」
少し不安になる。
じゃ、ルン君達に合流される前に、行きますよ、って。
あいつ等に見つからないようにしながら、楽屋を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!