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「コノルンの家、久し振りだなぁ」
前来た時、こんな感じだったっけ?
あ。でもキレイなのは変わんない気がするなあ。
なんて。颯君は酔っ払いついでに、靴脱ぎながらシューズラックの扉を開けたのを手始めに。
俺を先導するように少しゆらゆらして歩きながら、バスルームとか、トイレとか。目に付いたドアと言うドアを片っ端から開け始めた。
ベッドルームのドア開けて。ライトを点けて覗きこんだ颯君は。
「あ」
額に入った青い肌の女神の絵を見つけて。
「あれ小野さんに貰った絵?」
ホントに寝室に飾ってるんだ、なんてちょっと驚いてる。
「ま…何てカミサマかもわかんないしアレだけど。小野さんがくれたモノだからさ。貰ってからもう、4ヶ月近く飾ってるかな…」
起きて最初に目が合うとちょっと怖い絵だよな。って言ったら。
「ふぅん」
コノルンは、カーリーを知らないのかぁ…。
「え?」
インドに旅行した事がある颯君は。この女神サマの名前を知ってるみたいだ。でも。
何で俺、鼻で笑われた?
「ま。――まあまあ。じゃあ。コレ眺めて飲みなおしながら、教えちゃうから」
壁から額縁を外して脇に抱えたら。
何かおススメワイン一本、提供して。なんて言い始める。
「――颯君、まだ飲むの?」
っていうか。DVD借りたらニノんとこ帰るんじゃなかったのか?
って思ったけど。
小野さんが何の気なしにくれたと思ってたこの絵に込めた意味がもし解るならって。
「よし。いい赤一本あけてやるから、行こう」
「――あ。それから、コーヒーフレッシュとか…ある?」
「――多分冷蔵庫に入ってる」
「ひとつ、用意して?」
「?――解った」
キッチン往復するの面倒だから。一回で運んでしまえ、って。
つまみのクラッカーとチーズを適当に皿に盛って。ポケットにコーヒーフレッシュひとつ入れて。
ワイングラスを二つ、指の間に挟んで。赤ワインを一本指先で摘んだ。
凄くバランス取りながらリビングに戻ったら。
「うん。ちょっと遅くなるけど行くよ。――じゃ…後で」
って。ソファに凭れて電話を切った颯君がこっちを向いた。
「此処で一晩飲んで話すのかと思ったけど」
「いやいや、ちゃーんと。帰りますよ?」
待ってる人が居るって。いいよね、なんてニヤけながらノロけて来る。
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