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見事に時系列ごとに並んだ事件?を聞いて。
「オマエ何でそんなに知ってるんだ?――ルンのおかあさんかよ?」
俺がとっくに忘れてる事まで言われて思い出したから。呆れるっていうより。むしろ感心した。
「だってルン君ってば小野さんに虐められるとすぐ俺か颯ちゃんに連絡してきてたから」
何処かに吐き出さないと。溜め込んでたら此処まで我慢できなかったと思いますよ。
手酌で何本目かのリヴァンを空けて。グラスをくい、って傾けて喉に流し込んでから。
「――そっか…」
この数ヶ月と言うもの。ルンは物分りが良くて。俺よりずっとオトナだなんて思ってたけど。
ニノから話を聞くほど。そうじゃなくて、単に我慢してただけなんだってことに気付かされた。
「それにしてもそいつヒドイなぁ…誰の話してるんだ?」
客観的に聞くと、どれだけ俺が好き勝手やってきてたかが良くわかる。
「誰って。全部アナタの所業ですよ?全否定したいでしょうけど」
「――そうなんだよなぁ…」
いつもカッコよくて、ミスターパーフェクトなアイツが。
俺のコトでちょっと困ったり慌てたり、必死になったりする顔見るのが好きなんて。相当性格悪いと思うけど。
「一番ヒドイのはね。もう完全に気持ちは決まってるはずなのに。それを隠して、トモダチのフリを続けてる事ですよ」
「――そうなんだよなぁ…」
って。カウンターに頬杖ついて溜息をひとつ。
「――え?」
否定しないんですか小野さん?って。ニノにびっくりした顔された。
「もうこんな状態で半年だぞ。今更…、きっかけなんかわかんない」
って言ったら。ニノは腰のポケットからスマホ取り出して。画面を撫で始めたと思ったら耳に当てた。
「――何処に架けんだ?」
「何処ってルンく…――うゎ!!何するんですかッ」
静かな店に響く声に、二人でビックリして見回したら。他の客に視線を投げられたから。すみません…って会釈をしてから。
ニノに小声で抗議する。
「静かにしろ…オマエこそ何する気だ」
奪い取ったスマホの画面タッチして電話を切る。
「――きっかけが解んないなら。俺が作ってあげますよ」
「余計な真似すんなよ」
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