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「小野さん。今日終わってから時間ある?」
ルンから声をかけられて。
「――いいぞ?ゴハンか?」
この間変な断り方して、ホントはこっちから埋め合わせなきゃいけないのか、なんて思ってたから。俺は二つ返事した。
「飯も行くけど。小野さんニノのプレゼント買った?」
ニノの誕生日間近になったけど未だにプレゼント買えてなかった俺は。
「考えてはいるけど全然決まんなくて――あ。一緒に買う?」
ちゃんと目的があったほうが、ただゴハンだけ行くとかよりは意識しなくて済むから。正直助かった。
「うん。実はまだノープランでさ。小野さん何か決まってる?」
「俺もまだ。色々考えてはみたけど。――一緒に考えれば何か思いつくかな」
俺もルンも、拘り始めたら中々決められない性質だけど。
「何処に行くかから決めなきゃいけないか…」
「ルンに任せる」
俺出歩いて買い物しないし、って言ったら。
「じゃあ…」
ルンが、オシャレで変わった物探すなら、って連れてきたのは。
「――うわぁ…久し振りだなぁ」
俺此処来たの年末以来だぞ?
って苦笑いしながらルンの隣を歩く。
『ウエスコブーツ要らない事件』の現場、表参道に半年振りに戻ってきた。
「何か今俺…現場に戻ってきた犯人のキモチだ」
って言ったら。
「何だソレ」
裏道の小さなセレクトショップを外から眺めながら。
ああでもない、こうでもない、って二人でダメ出ししながら路地裏を探検する。
「なんかなぁ…アイツ服は自分で選べるし。上げたモノが面白くないと凄く弄られるし。――俺一回凄く迷って。祝儀袋に現金入れて渡そうって、本気で思ったコトあるぞ」
「アハハ。――いよいよに成ったら、超豪華な祝儀袋に二人でピン札詰めようか」
ってルンが言い始める。
「何だかホントにそうなりそうで、全然笑えねえぞ」
『二人分でコレだけですか?』とかニノなら言い出しそうだし、それだけはやっぱり避けようってショーウィンドーを眺めて回るけれど。
仕事帰りに探すのには限界があって。路地裏の店も、飲食店以外は次々ショーウィンドウの明りが落ちていく。
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