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「うそ!?」
俺そんなにイジワルされてたの?って。
うーん、うーん、って考えてたら。
コノルンは目の前で。
「――ニノの授業の時、アイダさんのことリレーで無駄に走らせただろ…?、俺の授業のとき、物凄く自転車漕がせただろ…?」
なんて指折って数え始めちゃったし。
シュンとしちゃって…。
「ねぇ…」
そんなに沢山数えて、両手の指全部使っちゃうつもりなの?
「――こないだも収録の時、後ろから頭に容赦なくツッコミ入れただろ?」
反省しきりの顔なんて、珍しいよね。
「ねぇってば…」
「ホントは怖くて、今日も来るかどうか迷ったし…」
こんな姿見せてもらえて、ちょっとカワイイし得したかも、なんて思うけど。
やっぱりさ。
そんなのコノルンらしくないでしょ!?
「ねえ!!」
指が7本目になった時に
もう止めてよ!!って。数えてた両手の指全部掴んじゃう。
「しょーがないなぁ」
って。
もう一回来た時みたいにコノルンを引っ張って。
「な…っ!アイダさん!?」
窮屈そうに、身を捩るコノルンを押さえつけた。
「ウルサイなぁ!!黙って俺の胸を借りなさいって言ってんの!」
俺に今体力使わせる気?ってズルい台詞を言っちゃったら。
素直に俺の腕の中に小さく納まって。愛しいひと。って思えるけど。
やっぱりちょっと物足りない。
やっぱり何時だって俺が甘える方じゃなきゃイヤだ。
でもまぁ…。
たまには。
――たまには、だよ?
俺が、抱き締めてあげるからね。
「ねえコノルン」
「なに?」
「俺ね。正直イベントの時からちょっと体調おかしかったけどさ」
って言ったら。びく、って腕の中のカラダが震える。
「…ゴメン」
「だーかーら。俺から元気と一生懸命取っちゃったら、皆がっかりでしょ?俺ね。元気ないこと忘れられるくらい、コノルンと皆に、仕事に集中させてもらえて。嬉しかったんだよ?」
だからアレで。良かったの。って言うのに。
「でも結局、こじらせて休んでるだろ」
「――まあ。コンサート近いし。少し焦るけど」
前みたいにね『外れたくない』っていう凄く大きな不安は。無いよ?
「コノルンが、待ってくれてるから」
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