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一週間で撮影するから、かなりの過密スケジュール。
俺の中のインドって。1月でももっと暑い国っていうイメージだったのに。
昼間は20℃前後。朝は10℃を切って、息が白くなるほど寒かった。
滞在中は。
殆どが――撮影現場と、宿泊してたホテルを往復するだけの毎日。
ちょっと出来た時間であいつらのお土産買うためにホテルの周辺回るので精一杯で。
仕事だから仕方ないけどさ。
折角ルンがくれたViviter。いつも持って歩いてるのに、あの初めに機内で撮った一枚以来。
全然シャッターが、押せてない。
きっと気負わず風景を切り取って来い、ってコトで渡してくれたはずなのに。
カウンターを覗いたら。
撮ったのたった1枚なのに。
『あと35枚しかない?』
撮り始めたらあっさり直ぐになくなりそうで。
そんな勿体無い事…。できねえよ。
アイツにいい写真撮って見せたい、って気負っちゃって。
凄くプレッシャーになった。
『どーしよう…』
――誰かと今無性に話がしたくなる。
今日もホテルの部屋に帰って、すること無くてただベッドに寝転がってるのが、辛い。
「――日本。何時だ…?」
確か3時間半こっちが遅いから。
今日本1時近いのか…。
宵っ張りといえば俺の中ではあの二人。
スマホ掴んで。電話帳開いて、発信。
もし一緒に居たら流石に出ないかな…。
『――え?――もしもし?サトリさん!?』
どしたの!?其処インドだよね!?
凄く声良く聞こえるんだけど!?なんて。颯君は面白すぎるリアクションで応答してくれた。
「お疲れ颯君。うん。まだインド――国際電話だよ~…今、ちょっとだけ、いいか?」
『いいよ?どうしたんですか?』
「うん…」
『サトリさん――元気ない』
コノルンじゃなくて俺にかけてきたってコトは、何か、あった?なんて。
図星過ぎる。
「なあ。其処ニノも一緒か?」
『え!?』
ってやっぱり解りやすい颯君の反応の後で、被せるように、
『何ですかおじさん!』
って、颯君の電話奪って噛み付いてきたのは、やっぱりニノで。
『折角俺これから颯ちゃんとイイトコロなんですから、邪魔しないでくれませんか!?』
ルン君のところにかけてください!って。あっさり電話切ろうとする。
「ルンにかけられないからこっちに掛けたんだろ!」
『だいた…『サトリさん!?』』
颯君がニノから電話奪い返して。
『どうしたの?』
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