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俺の家に土産を置きに来た小野さんは、
「家帰ってから仕事に出てくるの面倒だな…」
午後からの撮りは、俺と一緒にスタジオ入りすることにした。
「お邪魔しマース」
「どーぞ…」
俺がどんなに誘っても絶対来なかった癖に、今日はあっさり上がりこんで、
「あ」
見つけたソファに早速寝そべる。
「あ。硬さ丁度良くて寝心地いい~」
「小野さん…行動が楽屋とかわんねえな」
こんな姿見るだけで俺も和めるけれど。
「俺も、想像通りかな」
横たわった小野さんが寝返り打って見上げてくる。
「オマエの部屋って、生活感が微妙に無いよ」
ショールームってこんな感じ?ってくらい、最低限のモノしかないだろ?。
モノの多い俺の部屋とは違いすぎる、なんて言われて。
「――基本外食だし。飲んだり、夜シャワー浴びて寝るだけだからかな…」
俺の声が、沈んでると思ったのか。
「しょーがねえな。じゃあ時々遊びに来てやるか」
ソファ気に入ったから昼寝に来る、なんて言い出すから。
「――別にいいけど。可愛い顔して寝てたら俺何するかわかんないぞ?」
「信じてるからな?」
出来る訳がないって解ってるみたいに、小野さんは言葉の鎖で俺を戒めて、動けなくした。
其の日の楽屋で。
『スゴーい!コレ本物の宝石入ってる!』
アイダさんはアイダ丈の足元にあわせて、緑の輝石マラカイトのアンクレット。
『カワイイ!コレ腕でも手首でもいいんですね』
ニノには華奢な手首に似合う、細いゴールドワイヤーで出来たアームバングル。
『ガネーシャカッコイイ!』
颯君は、黒地に繊細な白いラインでプリントされてる、首から上は象のカミサマが踊ってる姿の全面プリントのTシャツ。
旅先のお土産はいつも皆評価辛いから、今回大好評で。
3人の喜んでる姿眺めながら、小野さんは心の中で胸を撫で下ろしてるだろう。
「ねえ、ルン君ってお土産何貰った?」
「――夢に出そうなコワいカミサマの絵と。水晶でできたちっちゃい謎の置物」
確かに俺のお土産皆と明らかに違う。
「おじさんまたマニアックなモノあげたねぇ!」
「言っとくけどルンのお土産。値段御前等全部の分あわせても足りない」
むしろ3倍、なんて言うから、
「――大事に飾るよ」
「おう。コワいから寝室に飾れ」
そうするしかない、って思うのは。惚れた弱みってヤツなんだろうなぁ。
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