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閉店間際に入ったのに。店主はいやな顔ひとつしないで対応してくれた。
「ご希望の『青強め』で、こんな感じに仕上がりましたよ」
如何ですか?って聞かれた小野さんは。
「凄い!」
広げられた写真一枚一枚確かめて、店長と盛り上がってるから、
なんとなく居場所を無くした俺は店の中を見回した。
スタジオ併設されてる所謂「町の写真屋さん」で。家族写真や成人式の写真が飾られてるけど。
トイカメラ愛好家が集まるのでも有名ってコトは。沢山のトイカメラが飾られて、雑貨が充実してるの見てもよくわかる。
此処も実はニノに教わった。
『プレゼントしたからにはアフターフォローまでして下さい?』
なんて。俺と違ってココロ配りがホントに行き届いてる。
店の中には俺でも気になるカメラが沢山あって。
一眼レフかと思って持ち上げたら全部プラスチックで出来てて凄く軽い、とか。
キーホルダーかと思ったら、マイクロSDカードに保存する小さな「トイデジカメ」とか。
ヴィレバンにも無かったタイプのトイカメラが沢山置いてあって。どんな風に写るのか気になって俺も一台欲しくなる。
「――ルン、お待たせ」
終わったぞ?って言いながら。写真の入った袋をちょっと上げて見せてくれる。
「また撮れたら来まーす」
ご機嫌で手を振った小野さんと二人。
「お待ちしてます」
店長に見送られながら、店を出る。
「――盛り上がってたな」
「うん。フィルムココに持ってきた時にさ。『どんな色にしたいですか?』なんて聞かれて、好みの色調とか、明るさとか、プリント用の印画紙をどうするかとか。丁寧に色々聞いてもらえたから。――ホントに希望通りに仕上がっててビックリした」
好きなもののコトになると話が長くなる小野さん。
「小野さんまた嵌まりモノ増えそうだな…」
「ぅん?そうだなあ。俺って意外に多趣味なのかな…。絵に、釣りに、ラジコンに…」
これからはカメラも加えるか?って、指を折って数えていくから。
「なあ。俺は入ってないの?」
「アハハ!俺の『趣味はコノルンです』って?」
意味わかんないぞ?なんて笑いすぎだっての…。
「趣味じゃなくて――嵌まりモノってことだよ…」
少し不満を込めて言ったら。
「う~ん。俺別にルンに嵌まっては、いない」
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