2人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめん、手を洗ってくるね」
そう言って彼女は、少し小走りで水道の所へと走っていった。
「大丈夫かな…」
最近、よく咳込むようになったし顔色も悪いときもある。
「どうかした?」と聞いても、「大丈夫」と言って、微笑んでいる。
その微笑みも、無理に作ったようだった。
いつもそうだ。
他人に迷惑をかけたくないからなのか、絶対に誰にも頼らない。
どんなときも、自分にむち打って無理している。
「俺ってそんなに頼りないのか…?」
俺の微かな呟きは、渡り廊下を騒ぎながら通った女子たちによってかき消された。
「少しは頼れよな…」
俺はため息をつくと、何故だかは知らないがさっきの女子たちを軽く睨んだ。
最初のコメントを投稿しよう!