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この少年は怒鳴ってばかりいるな、
煩いし煩わしい、それにだ………………。
「何故助けを呼ぶ必要があるというのだぁ……? もう今更村は助からないし、火を消したところで残るのは塵だけであろう?
村の奴らも全員死んでいる、死体すらもう残ってはいまい。残るのは醜く、汚らしい消し炭だけ…………
何の価値も見出だせん、人の死ほど儚く、醜くいものは早々ないだろうな…………。」
周りは建物から何から何まで全部燃えているというのに、
火はまるで延々続くかのように燃え続けているのだ
この少年は助けが無駄だというのを理解できていないのか、いや、理解したくないだけなのかもしれんな、彼は。
ま、どの道今の状態の彼にはこんな事言っても無意味だろう……
無駄なことは避けたいのでな。
「何言ってんだよお前! 何なんだよ?! 助からないとか、そんなのわかんないだろ!! こんなことが、あっていいわけがない! いくらなんでも…………人の死が醜いなんて……そんなことが…………」
「……君は、この村の人間かね?」
「!…………そうだよ、今日はたまたま外に用事があったから、村から出ていたんだ、帰ったら村がこんなになってるなんてのは、さすがに想像すらできなかったけどな……!」
なるほどな…………。
しかし落ち着くのが早いな、この少年は思いの外中々に肝の据わった人間らしい、
普通ならばもっと取り乱してもいいはずなのだが、少し面白いな、しかし、あんなに大声を出せば疲れるのも当然と言えば当然か……。
歳の割には大人びている、と言ったところなのか、それとも…………まぁ冷静になることに越したことはない……が
だがしかしな少年よ、君も俺から見たら十分おかしな人間だな
俺も大概なのだろうが、ね…………。
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