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「しかし君はやけに感情が不安定だなぁ、いや、不安定というよりは感情の上下が激しいのかね?
やけに落ち着いたのだな」
この少年が今どんな感情を抱いているのか、少し興味が出たな、
喜びではないにしろ、怒り、悲しみ、は見てとれる……なら彼のあの表情は一体なんだ?
うまい表現が中々出てこないのだが、強いていうならば……あれはそう、”無”か
外面だけなら怒り悲しんでいるように見えるが、この少年の目の奥にある禍禍しいものは何だ?
悪意や憎悪ならわかりやすいのだが、こんなにも感情を無くすとは……、これは驚きだ、期待できるか?
いやいや、少年は俺ではないのだ。
しかもこの状況ともなると、放心状態であっても間違ってはいないだろう。
なんて俺が長々しく色々と考えていると少年が無表情で語りかけてきた
「なんつーかさ、よくよく考えると、アンタさ……何者なんだ? 何か怪しいのは間違いないんだけど……」
………………ちっ、何だコイツは、俺が何者か?だと、随分つまらん質問だ、興が醒めたな興冷めだなぁ……
俺が抱いた少年への興味は一気に削がれたな、まさかここにきて俺が誰かと問いだすか、
下らんな実に下らん……、
死ねばいいとさえ思う。
「何者かと聞かれたところでどう答えればいいんだ? お前は馬鹿なのか? 俺の名前を名乗ったところで、お前に何かを齎すのか? 目の前の出来事が解決するのか?
あ? 違うだろ?
おいクソガキ、言っておくが人に何者かと尋ねたところで、明確な答えなど存在しない、故にその問い掛けには俺はこう答える……」
人間は人間でしかない、そんなの当たり前だ、前提条件であり最低な条件だ、むしろアホだろう
ならどう答えるか、所属なんかでも言えばいいのか?
言ったところでどうになる、所属なんてものをここで少年に知らせたところで、何の解決にもならん、
人は何者でもないし何でもない、ただ生きて死ぬだけの下らない生き物
生きとし生けるもの、生き物、生物、動物
そんな単純で明快な、端的な答え……
だから俺の答えはこの一言だけだ。
俺はそう…………、
「ただの怪しいオッサンだ」
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